蓮實重彦 『知性のために』(岩波書店・1998年)

蓮実重彦著『知性のために』を読んだ(というか眺めた..)。彼が東大総長(=学長)だった時の式辞が載ってたりする。1997年東大入学式(@日本武道館)の式辞はこんな感じ…。

「新入生の皆さん。あなたがたは、あなたがたの一人ひとりに恵まれている若さを一時的にゆだねるアカデミックな環境として、東京大学を選択されました。東京大学もまた、その若さの維持に貢献してくれる新たな人材として、あなたがたを選択いたしました。あなたがたの期待あふれる選択とわたくしたちの慎重な選択とが、いまここに出会おうとしております。この晴れがましい舞台で祝福されようとしているのは、この出会いが約束してくれる東京大学の未来にほかなりません。この場をみたしているすべての人は、いま出会いつつあるこの二つの選択の決定的な正しさを確かめる権利を手にしているはずです。わたくしも、ゆっくり時間をかけてそれを行使させていただくつもりでおります。新入生の皆さんも、その権利を存分に行使する積極的な主体として東京大学と接していただきたい。」(以下略)

これが冒頭部分。ここから延々30ページにわたって、もって回った「蓮実節」が炸裂する。ある人曰く「おそらく彼はフランス語で下書きをしてそれを和訳したのだろう」とのこと。もっとも、これが彼一流の「ひょうきんさ」と「おちゃめさ」なのかもしれない、と思ったり。