エレベーターあれこれ..

思ったこと、感じたことをつらつらと…。
 
【1:事故の原因について】

  • 僕はシロウトなのでもちろん断定はできませんが、なんとなくハードじゃなくてソフトの側に原因がありそう。つまりエレベーターというのは(自動車や航空機と同様に)「プログラムの塊」だから、ドアの開閉とかカゴの上昇・下降なんかは全てプログラムで管理されているはず。で、そこにバグがあるんじゃないかと。管理会社が行なう定期保守・点検というのは、おそらく目で見て分かるハード面のトラブル(=「ワイヤーが老朽化してる」とか「モーターの部品が錆びている」とか)をチェックするのであって、ソフト面は点検しないし、もとより出来るわけがない(=ソフトはシンドラー社の企業秘密になってるはずだから)。「整備不良」という理由だけで「扉が開いたまま急上昇する」なんてちょっとありえないと思う。メーカー側の責任ということだと、法的(民事的)には瑕疵担保ということでしょうか?

【2:会社の対応について】

  • 「捜査に協力する」というの当たり前の話。…っていうか捜索差押令状を前にして「協力」もクソもない。いずれ「法の制裁」があるのかもしれないけど、その前に「市場の制裁」を受けるはず。誰かがマンションを買うとして「えっ?ここのエレベーターってシンドラーなの?それなら…」ってことになるだろうから。もっとも、スイスのグループ本部は「だからどーした?」と思っているかもしれない。別に株価がストップ安になるわけじゃないし、エレベーターは直接の利用者が購入するような商品ではないから(=マンションの住人がエレベーター会社を選定する訳ではない)、売上が急に落ちるわけでもない。もとより極東のシェア1%の国で起こった死亡事故ごときでグラグラするような会社ではない(らしい)。日本市場からの撤退を余儀なくされても「ま、しょうがないか。元々やりずらいマーケットだったし‥」程度の認識かもしれない。「法規を守りましょう」以上の危機管理をしようという気分にはなりにくいのでは??
  • プレスリリースの文章がおかしい。「100カ国で製造販売」し「毎日7億5000万人が使う」「世界で第2位」のエレベーター会社という表現。これじゃまるで「自慢話」だ。生のリリースを読むと「ウチは大企業なので安心して下さい」という文脈みたいだけど、知名度の無さが批判の原因だとでも思っているのだろうか?加えて、「エレベーター業界での死亡事故は不適切な保守点検か、閉じ込められた乗客による危険な行為が主因(Fatal accidents in the elevator industry are mainly due to inappropriate maintenance or dangerous user behavior in the context of entrapment.)」というリリースもヘン。そのまま聞くと単なる「責任逃れ」に聞こえる。でもこの発言は「業界の一般論」についての言及であって、その意味では正しい。ただ、このタイミングでそういう「一般論」を発表してもしょうがない。感情を逆なでしてしまう。おそらく一連のリリースは本国から届いたペーパーをそのまま訳して発表してるんだろう。日本の現地法人が自分達で勝手に文章を出すことはできないはずだし(←外資とはそういうものだろう..)。「外資のツラさ」が見え隠れしてる気がする。

【3:その他】

「普通に動いて当たり前」 エレベーターのことをそんな風に思っていませんか。しかしエレベーターだって機械です。ほっておけば、ある日突然止まった、などという事態が起きかねません。エレベーター、エスカレーターの安全な運行のためには、日頃のメンテナンスが何よりも大切です。お客様のエレベーターやエスカレーターは大丈夫ですか?ちょっとでも不安がありましたら、メンテナンスのプロフェッショナルでもあるシンドラーにご相談ください。

…ツッコミどころが満載です(笑)。おそらく「ご相談」したら、「捜査中ですので…」って言うんだろうなぁ(←皮肉..)。少なくとも今回の事件で「普通に動く」ことが当たり前ではないということは分かりました。来週、社長会見があるそうです。「我が社が悪い!エレベーターについてはプロ中のプロですからっ!!」とか言ってほしい。
 
【参照】
http://www.schindler.co.jp/jpn/WEBJPNJP.nsf/pages/new-060607-02-01
http://www.schindler.com/group_kg_mr_news?news=32901