今度は「まねきTV」らしい..

「録画ネット」「選撮見録」に続き、今度は「まねきTV」らしい(※決定文(pdfファイル)はこちら。債務者はこちら。朝日の記事はこちら)。どうやら『ロケーションフリー』という装置(=SONY製。商品の説明はこちら)を使うと、一般のTV放送をインターネット経由で視聴できるみたい。で、決定の趣旨は「自分の『ロケーションフリー』を用いて、自分のパソコンにTV放送を転送したところで、公衆に対する送信とは言えない」ということらしい。
裁判所は事案ごとに個々の具体的な「システム」を判断しているのであって、「ビジネスモデル」の是非を判断しているわけではないから、(モデルのレベルで)似たようなことをやっているのに、(システムのレベルで)「あのやり方はアウトでこのやり方はセーフ」というようなことは十分ありうる。債権者(=TV局)の主張する条文も違う訳だし。
もっとも、「まねきTV」がそれほど上手に法律を「掻い潜った」とは思えない(決定文をざーっと読んだ感じではそういう気がする)。なんとなく「たまたま上手くいっちゃった」「身をかわすことができた」という印象。システムをちょっと変えただけでアウトになりうるし(=例えば装置をレンタルしちゃったり、1台の装置から複数の顧客に映像を再分配しちゃったり)、業者さん(=本決定の債務者)もその程度のシステム改変はウッカリやっちゃいそうだなぁ〜と。*1 *2

*1: (※2006/12/22付記):本件で抗告棄却の決定が出た模様(※弁護士・小倉秀夫先生のブログ『BENLI』より。こちら)。そもそもどんな事件だったのかさえ、今となってはウロ覚えなんですが。自分の書いたエントリを読む限りでは、(これを書いた当時、)「著作権の間接侵害事案においてアウトとセーフは紙一重」という印象を持っていたみたいです(←もはや他人事..)。当時から「なんでSONYを訴えないんでしょうねぇ?」とは思ってましたけど。おそらく「そういうもの」なんでしょう..(大人の事情..)

*2: (※2006/12/23付記):抗告審の寸感を書きました。こちら