リサーチ・ペーパー(=修士論文)

上の「日々」でも書きましたが、今日、修論のテーマを「公序良俗に反する態様で取得された商標」に決めました。簡単に概略など…


商標法4条1項7号により、公序良俗に反する商標は登録できないことになっています。この条文、もともとは商標自体が公序良俗に反するものを拒絶する趣旨でした(例えば「管理食養士」の商標は管理栄養士と紛らわしいから拒絶とか)。しかし、[函館新聞]事件(特許庁審決平11・3・10)に代表されるように、商標取得のプロセスが背信的であるとか公正な競業秩序を乱すようなケースにもこの7号が使われ始めました(7号の拡大)。96年の法改正により4条1項19号が一応、新設されたのですが、内在的不備もあり、いまだ7号の出番は少なくないように思われます。事実、最近になっても(出願が19号が新設された前後なので微妙ではあるのですが)、取得態様の悪質さを7号の下に主張する事案が少なくありません。そのうちの1つが東高判平15・3・20[はれっくす]です。で、修論では[はれっくす]評釈をベースに、[函館新聞]との差異や法改正との関係などに言及しようと考えています。


コツコツ、地道に取り組み、あまり大上段に構えず、また考えたこと以上に飛躍することもなく、地に足の着いた論文にしたいと思います。