5月22日は『Xデー』?? ―著作権・戦時加算について―

戦時加算についての備忘メモ。以下、マニア向けのネタです…(笑)*1。夜中に考えてたら、頭がジンジンしてきました…。

  • 第二次世界大戦における連合国を本国とする著作物であって、日本国と当該連合国との間で平和条約が発効した日の前日以前に創作された著作物に対しては、通常の著作権の存続期間に加えて、いわゆる「戦時加算」による存続期間の加算が認められる(連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律4条)。
  • 例えば、米・英・仏・加・豪の場合、戦争期間(1941年12月8日から1952年4月28日まで)の3794日を加算することとなる。
  • 「3794日」とは「10年と142日」(←閏年が3回ある)である。
  • 通常、著作権の保護期間は作者の死亡した翌年の 1月1日から起算するので、戦時加算された場合、大抵の著作物は起算から60年後(計算上は61年後)の 5月22日*2が「Xデー」となる。つまり 5月22日24:00で保護は満了し、5月23日0:00からパブリックドメインとなる(ただし、戦時加算開始年が閏年の翌年の場合には5月23日までとなる) 。
  • 赤毛のアン』を例に考えると、創作は1908年であり、著作者が死亡したのは1942年4月24日であるから、通常の保護期間満了日(1992年12月31日)に10年と142日を加算した2003年5月22日に保護期間は満了する。

〔参考:連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律
4条1項 昭和十六年十二月七日に連合国及び連合国民が有していた著作権は、著作権法に規定する当該著作権に相当する権利の存続期間に、昭和十六年十二月八日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和条約が効力を生ずる日の前日までの期間(当該期間において連合国及び連合国民以外の者が当該著作権を有していた期間があるときは、その期間を除く。)に相当する期間を加算した期間継続する。
4条2項 昭和十六年十二月八日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和条約が効力を生ずる日の前日までの期間において、連合国又は連合国民が取得した著作権(前条の規定により有効に取得されたものとして保護される著作権を含む。)は、著作権法に規定する当該著作権に相当する権利の存続期間に、当該連合国又は連合国民がその著作権を取得した日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和条約が効力を生ずる日の前日までの期間(当該期間において連合国及び連合国民以外の者が当該著作権を有していた期間があるときは、その期間を除く。)に相当する期間を加算した期間継続する。
(※1項が戦争前に発生した著作権の話、2項が戦争中に発生した著作権の話)

*1:実務では「戦時中に創作された場合は場合は3794日にならないぞ!」とか「この著作権者は戦争中にドイツからアメリカに亡命してるけど、どうするんだ!?」とか「連合国の方が期間が短いけど、相互主義はどうなるんだ?」とか、もっと雑多な事情をイチイチ考慮する必要があるから、以下のような大雑把な話では役に立たない。従って、以下の計算法は戦時加算を概算で出す必要に迫られた人向けのネタなのですが、「そんなヤツおるんかいっ!?」という意味(笑)。

*2:12月31日+50年+10年+142日